「何を、どれだけ食べるか」というのは減量する際に一番重要なことのひとつです。
しかし、このカロリー設定は個人差が非常に大きく、自己流で減量する場合手探りで自分にとってベストな食事内容を確立していくことになりますが、そう簡単に最良の食事プランが見つかるわけではありません。
私は2020年でボディビルを始めて5年目となりますが、まだまだ「これだ!」という食事内容には出会っておらず、自身の食事内容が最適なものであると確信を持っている人はフィットネス競技者であっても少ないものです。始めて減量に挑戦する方や何度かチャレンジしてみたけど上手くいかなかったという人はなおさらどのように摂取カロリーを設定したらよいのか分からないですよね。
そこで今回は私自身の減量とパーソナルトレーナーとしての指導経験から、減量に慣れていない人がどのように摂取カロリーと栄養素のバランスを決めたらよいのかアドバイスします。
除脂肪体重を知る
体重を基準に摂取カロリーや栄養素の数値を設定する方法がシンプルで分かりやすく感じますが、体型による誤差が大きくなってしまうのであまりおすすめしません。男性に比べて体脂肪率の高い女性や肥満の人などは本来必要なカロリーを超えた数値が出てしまい、思うように成果が出ないという状態になりがちです。
体脂肪に栄養は必要ないので、面倒でもまずは自分の除脂肪体重を把握することから始めましょう。
手軽さと正確性を両立した米国軍式計算法がおすすめ
市販の体組成計では誤差が大きく実際の体脂肪率からかけ離れた数値が出てしまうおそれがあるため、米国軍で採用されている計算式を使って体脂肪率と除脂肪体重を算出する方法をおすすめします。
- 年齢
- 性別
- 身長
- 体重
- 首回り(一番細い部分)
- ウエスト(へそ周り・起床後のリラックス状態)
- ヒップ(女性のみ)
をリンク先のフォームに入力することで、市販の体組成計に比べて精度の高い測定が可能です。
体重だけでなくメジャーを使って体のサイズも測らなければならないので少し面倒ではありますが、なるべく正確に除脂肪体重を算出することが減量成功への第一歩なので手間を惜しまないように。
摂取カロリーを計算する
無理なく減量したいなら除脂肪体重(㎏)×40kcal
私が一番おすすめするのは除脂肪体重(㎏)×40kcalからスタートすることです。例えば体重80㎏、体脂肪率20%なら除脂肪体重64㎏×40=2560kcalとなります。
このカロリー設定だとおおよそ1.5-2㎏/月の減量が期待できます。一見すると大した変化がないように思えますが、ウエイトトレーニングで筋力や筋肉量を維持・向上させながら体脂肪だけを落としていくリーンゲインズでは体重の数字以上に見た目の変化が大きくなります。2ヶ月ほどダイエットを続ければ変化が目に見えてくるでしょう。
それに、これくらいのカロリー制限であれば減量に慣れていない人でもストレスなく続けやすいため半年-1年といった長い目で見るとむしろ大きな成果を出しやすいと言えます。いきなりカロリー制限をきつくするとストレスで長続きしなかったり、減量後にリバウンドするリスクが大きくなったりするのであまりおすすめできません。
摂取カロリーは多い方がトレーニングの使用重量も伸びやすく筋肉量も維持しやすいので、特に急いでダイエットしたい理由があるわけではない人は多めの数値でスタートしてみてはいかがでしょうか。
リスク承知で落したいなら 除脂肪体重(㎏)×30kcal
ストレスによるドカ食いやリバウンドのリスクは上がりますが、短期間でそれなりに大きく体を変えたいという人は除脂肪体重(㎏)×30kcal に挑戦してみるのもよいかもしれません。体重80㎏、体脂肪率20%なら1920kcalとなります。
摂取カロリーが低い分減量のペースも早くなり、2.5-4㎏/月程度の減量が期待できます。これくらいのカロリー制限であれば、高強度でトレーニングできていればそれほど筋肉量を落とす心配はしなくてもだいじょうぶだと思います。しかしスタートから制限がきつい状態のため、ストレスからドカ食いしたりリバウンドしたりするリスクは大きくなります。
個人的には多めの摂取カロリーで始めて様子を見ながら調整していくのがおすすめではあるのですが、リスクを承知の上で成果を優先したい、という人はこちらのカロリー設定にチャレンジしてみてもよいかもしれません。
これ以下の摂取カロリーで減量スタートするのはおすすめしません。減量に慣れており体調に問題がないことを分かっていてやるのならまだしも、ダイエット初心者が安易に挑戦すると体調不良やメンタルの不調などを起こしやすいです。一度調子を崩すと回復するまでは時間がかかるので、最初は調子よく落ちたけど長い目でみたら思うような成果が出なかった、途中で挫折してしまったという結果になりがちです。
三大栄養素の量を設定する
減量時のたんぱく質は除脂肪体重(㎏)×2-3g
摂取カロリーが決まったら次はたんぱく質、脂質、炭水化物の三大栄養素をどの程度摂るのか決めます。
この3種類の中で一番重要なのはたんぱく質です。ハードにトレーニングする上で筋肉の材料となるたんぱく質は欠かせない栄養素のため、減量中でも必要最低限のたんぱく質は確保しておきましょう。
私がおすすめするのは除脂肪体重(㎏)×2-3gです。かなり幅を持たせてあるのは体質や減量の進み具合によってたんぱく質を減らし、その分炭水化物を増やした方がトレーニング強度を保てる場合があるためです。減量スタート時は多めの摂取量にしておき、体調の変化や減量の進み具合に応じて炭水化物とのバランスを調整するとよいでしょう。
カロリーと同じく体重80㎏、体脂肪率20%で計算すると除脂肪体重64㎏×3≒190gとなります。
多すぎるたんぱく質はダイエットの妨げになる
もちろんたんぱく質は筋力トレーニングと食事コントロールを合わせて筋肉は多く体脂肪は少ない体をつくっていくリーンゲインズにとって大切な栄養素なのですが、たんぱく質にも1gあたり4kcalのエネルギーがあるため摂りすぎはカロリーオーバーの原因となるので除脂肪体重(㎏)×3gを超えた摂取はおすすめしません。
とてつもない量のたんぱく質を摂るボディビルダーもいますが、それは彼らが長い競技キャリアの中で見つけたその人にとってのベストなたんぱく質量なので安易に真似をするのは失敗のもとです。ほとんどの人は除脂肪体重(㎏)3gのたんぱく質が摂れていれば十分です。
脂質は除脂肪体重×0.9-1.4g
たんぱく質量が決まったら次は脂質の摂取量を計算します。脂質=体脂肪のイメージが強いので少なければ少ないほど良いと考えてしまいがちですが、脂質も体にとってなくてはならない栄養素なので少なすぎると体調を崩しやすくなってしまいます。脂溶性ビタミンを体内で運んだり、男性ホルモンや女性ホルモンの材料となるため体の機能を正常に保つためには欠かせません。
とはいえ脂質は1gあたり9kcalとたんぱく質や炭水化物に比べて高カロリーなため、摂りすぎにもならないようきちんと管理する必要があります。
最低でも除脂肪体重(㎏)×0.9g程度摂っておけば体調面の心配はないと思いますが、最初は除脂肪体重(㎏)×1.4g程度の多めの量でスタートし、減量の進み具合を見ながら落としていくのがおすすめです。
体重80㎏、体脂肪率20%の場合64㎏×1.4≒90gでのスタートです。
炭水化物≒糖質は総摂取カロリーからたんぱく質と脂質のカロリーを引いた残りの量
最後は炭水化物です。糖質と食物繊維を合わせて炭水化物と呼び、厳密に言えば食物繊維にもカロリーはあるのですが計算が面倒なため気にしなくて大丈夫です。そのため私が推奨する計算では炭水化物量=糖質量ということになります。
炭水化物は体を動かすメインのエネルギー源のため非常に重要な栄養素です。ウエイトトレーニングを行うリーンゲインズにおいては炭水化物の量が少なすぎるとトレーニングの質が下がり、頑張って食事量を抑えたせいで逆に成果が出なくなってしまうこともよくあります。減量中でもハードなトレーニングを継続できるような炭水化物摂取を心がけましょう。
体重80㎏、体脂肪率20%の場合、
総摂取カロリー:2560kcal
たんぱく質:190g×4=760kcal
脂質:90g×9=810kcal
2560-760-810=990kcal
炭水化物:990kcal÷4≒250g
となるため、250gの炭水化物量でのスタートとなります。
食材の選択は自由
基本的に設定したカロリー・栄養素の範囲内であれば食材は自由に選んで構いません。極端に言えば、カロリーと栄養素がオーバーしなければお菓子やジャンクフードを食べても問題ないのです。
ただしジャンクフードなどは量の割に高カロリーなため満腹感が得にくいため注意が必要です。ジャンクフードやお菓子は最小限に抑えて、よりカロリーの低い果物や味付きのプロテインを活用して甘味を補給していくと満腹感と満足感を両立し、ストレスなく減量を続けていきやすくなります。
野菜のカロリーは計算しない
もちろん野菜にもカロリーはありますし、ゴボウなど根菜類はそれなりに糖質量も多いのですが、基本的に野菜のカロリーは計算に入れなくて大丈夫です。野菜のカロリーまで計算し重さも計って…となると食事コントロールのストレスが跳ね上がってしまうのでおすすめできません。
ダイエットに影響するほどの量はなかなか食べられませんし、むしろビタミン・ミネラルや食物繊維によるメリットの方が大きいため積極的に野菜を食べましょう。
まとめ
- 摂取カロリーは除脂肪体重×40
- たんぱく質は除脂肪体重×2-3g
- 脂質は除脂肪体重×0.9-1.4g
- 残りを炭水化物から摂る
- 食材は自由
- 野菜も積極的に摂る
実際に減量する際は個人の目標や体質に合わせたカスタマイズが必要ですし、継続してダイエットするためには減量の進み具合に応じて食事をアップデートしていかなければなりません。記事の内容を参考に自分に合った食事を見つけてください。
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